「小人の靴屋プロジェクト」の始動

arikawaが現場に変革を起こすために最初に立ち上げたのが「小人の靴屋プロジェクト」でした。海外の童話である「小人の靴屋」で描かれている「誰もいない間に靴が完成している(寝ている間に小人が仕事をこなしてくれる)」という様子を、現実のものづくり現場に落とし込む。つまり、深刻な人手不足の課題を乗り越え、24時間ほとんど止まらずに動き続ける製造体制を築くという、現体制を大きく変革する挑戦です。

初動は基幹工程の見直しから

小人の靴屋プロジェクトの起点となったのは、製造の根幹である「プレス」と「検査」の二工程です。プレスは生産の中心を担う重要なプロセスであり、人手不足の影響を最も受けやすい領域です。一方、検査は品質保証の要ですが、長年「人の目」に頼ってきたことが作業負荷や属人性の温床となっていました。プレスと検査の二つを自動化することで、業務効率化と品質向上、そして従業員の負荷軽減という三つの成果を一挙に上げるという狙いがありました。

小ロット多品種でも自動化を諦めない——協調ロボットに懸けた理由

arikawaの強みである少ロット多品種生産は、従来の固定的な自動化では対応が難しい領域でした。品種ごとに段取り替えが発生し、その都度時間と手間がかかるためです。それでも自動化を諦めなかったのは、協調ロボットという柔軟な選択肢に出会ったからです。それは、その時点におけるarikawaのニーズに合致するものでした。

協調ロボットの特性は、以下が挙げられます。

  • 人との共存が可能で安全柵不要

  • プログラミングが容易で、現場担当者でも習得可能

  • 製品切り替えにも柔軟に対応

  • 既存の設備との親和性が高い

こうした特性が、arikawaのニーズと非常に合致し、導入が決定しました。実際の現場では、人の感性と機械の精度が共に働く仕組みが生まれ、互いの強みを活かした生産体制が形になっていきました。結果として、作業効率の向上と労働負荷の軽減といった大きな成果が得られています。

成功の裏にあったパートナーの力

もちろん、導入には多くのハードルが存在しました。ロボットの選定から設置設計、システム連携まで、多くの技術的課題が立ちはだかりました。多くの困難の中で、心強い存在となったのが、以下のパートナー企業です。それぞれの企業が専門性を発揮し、arikawaの改革を支える強力なパートナーとなりました。

  • オムロン:実践的なトレーニングと運用アドバイス

  • 山崎電機:最新技術の共有とシステム設計の支援

  • ポリテクセンター:社内技術者の育成と研修プログラムの提供

全員で作る仕組み=内製化の挑戦

arikawaは外部に頼るだけではなく、内製化にも本気で取り組みました。内製化によって得られるメリットは、以下が挙げられます。

  • トラブル時の迅速な復旧

  • 柔軟な現場対応

  • ノウハウの蓄積と継承

  • 多能工の育成

  • 組織としての技術底上げ

トラブル時に即応できることや、現場に合わせて柔軟に改善できることが、内製力の強みです。経験が個人で終わらず、組織として活かされることで、多能工の育成や技術継承にもつながります。また、単に自動化機器を使うのではなく「自ら考え、改良し、進化させる」文化づくりにもつながっていきました。

人材育成こそ、最大の投資

「本当に自分たちで内製化ができるのだろうか?」——最初は多くの不安がありました。そこで重要だったのは、操作方法ではなく目的の共有です。「なぜやるのか」を徹底的に共有し、納得感を持たせた上でOJTや研修を実施しました。

失敗を恐れず、実地で改善を積み重ねることを奨励し、試行錯誤する姿勢を支える職場の空気を育てたことが、最終的に現場力の向上につながったのです。改善を前提にした試みが、挑戦する姿勢を育てる文化を作り、現場の意識と行動を確実に変えていきました。そして何より重要だったのが、経営陣自らが率先して「まずやってみよう」と行動を示したことです。挑戦する姿勢を育てる文化を作ったことで、従業員の背中を押し、組織全体が変わる原動力となりました。

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小人の靴屋プロジェクト

有川製作所は、最先端のロボティクス等を活用し、製造業の本格的な自動化 (MX) を実現する『小人の靴屋プロジェクト』を行っています。

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巨人の肩プロジェクト

また、関連プロジェクトとして、最先端のAI/3D 技術等を活用して、製造業の本格的なデジタル化 (DX) を実現する『巨人の肩プロジェクト』を行っています。

自動化 (MX)・デジタル化 (DX)・脱炭素化 (GX) など、製造業に関する新たな取り組みに果敢に挑戦し、自社の企業価値を高め続けると共に、蓄積されたノウハウを製造業界全体に波及させることで、製造業を変革させ、モノづくりの未来を実現します。
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